- 2015.11.03
- ヒヤシンスハウス
今年から大学の設計課題として立原道造設計のヒヤシンスハウス(さいたま市別所沼公園内に「ヒアシンスハウスをつくる会」により2004年に建設)を取り上げることになったので、見学に行ってきました。2.4m×6.0mの狭小住宅(キッチンなし)。0.9m×0.9mの玄関ポーチが削り取られ、トイレが一部ほぼ同じ大きさだけ外に突き出すなど、平面上で幾つかテクニカルな操作が行われています。大きく開け放てるコーナーの窓も目を引きます。行ってみて、いい意味でびっくり。全然狭く感じない。着心地の良い服のように、すごく自然で体にフィットした居心地の良さがありました。その良さは、細部まで計算されつくした様々な要素の操作にあると思われます。このポーチを中心にして、時計回りのらせんを描くようにして、収納、ベッド、本棚、デスク、ベンチ、テーブル、トイレなど機能的なものが設えられています。そしてこのらせんに沿って3つの窓の大きさやそこから入る光の量(明るさ)、機能的な設えの周囲にできる余白の広さなどが次第に大きくなっていくようにコントロールされていて、そのゆるやかな変化に合わせてプライベートとパブリックの領域設定も凝縮された平面の中で滑らかに変わっていくようになっています。コーナーの窓はデザイン優先のように見えますが、絶妙な高さ寸法の設定によって、伝統的な日本家屋の縁側のように人を引き付けて放さない魅力があります。この家からはいろんなことが学べそうです。