ROKU Edogawa

  • 東京都江戸川区
  • 2012年

グッドデザイン賞受賞[ROKUアルミフレーム・シリーズ] (2015年)
JCDデザインアワード2013 BEST100 (2013年)
SD Review 2011入選[BR Unit Project] (2011年)

ROKUシリーズは、ボートレース(BR)場既存建物内に設置され、若い女性を中心とした新たな客層を惹きこむためのプロジェクトとして始まりました。全盛期には人で埋め尽くされていた建物も現在では有効活用されずに空いたスペースが多く、その未利用部分を再活性化することも求められました。主要な設計条件は、50名程度のカフェを中心とし、地域貢献として開放された時に様々なイベントが行えるようにすること、全国のBR場において同一イメージで展開できるように、設置条件の違いに柔軟に対応できること、できる限り軽量化することでした。
具体的な設計に先立ち、基本的なユニットを変形し組み合わせる一つのシステムによって設置条件の違いに対応することを考えました。ユニットの基本的な構成は、断面形状から設計した一組のアルミ押出材フレームの間にパネル材を張り、床・壁・天井を形作るようになっています。ペアになったアルミフレームは、引き伸ばされ、すぼめられ、押し広げられて様々に変形し、空間を流れていきます。この流れる線材は、水面を広がる波紋や絡み合うボートの軌跡というボートレース特有の要素と響き合います。このアルミフレームは中空になっており、照明・映像・音響設備の配線スペースにもなっています。
プロジェクト第1号がBR江戸川に設置されたこの「ROKU Edogawa」です。旧客溜部分のほぼ中央にアルミフレームによって囲われた客席スペースがあり、水面へ向かって張り出したテラス状の床面が伸びます。ここはレース時には観覧席、イベント時にはステージとなる。アルミフレーム梁上部に内蔵されたLEDの間接照明は、既存天井面に向かって柔らかい光を放ちます。