岩見沢駅舎建築デザインコンペ 入選案

  • 北海道岩見沢市
  • 2005年

岩見沢市のシンボルとしての駅舎の提案です。岩見沢の街を観察し、それを参照することから設計を始めました。都市も自然と同じように決して画一的にはならず、その中に「ゆらぎ」を持ちます(これは、人間の「本性nature」ゆえなのだと思います)。岩見沢をはじめグリッド状の都市においては、画一的な形状の街区にあって、各々の建物はグリッドの持つの方向性や高さ制限による規制を受け、規則性を持った形状と大きさとなって並んでいながらも、多様な現れを見せています。そこから見出されるのは、抽象的な秩序としてのグリッド内のものの「ゆらぎ」です。この「ゆらぎ」という、表面的な差違の奥にある岩見沢の街の特徴を、設計を特徴付けるコードとして受け継ぐデザインの提案です。また、ここでは都市での経験の質を建物に内包させることが意図されているとも言い得るでしょう。都市に向かうガラスの矩形のファサードは、自然と都市の両方に見られる「ゆらぎ」を持って分節されています。また、木々が映し出されるガラスのスクリーンの奥には、HPシェルの連なりからなる屋根――北海道の雄大な山並みに呼応する形――が浮かび上がるようになっています。外壁仕上げはレンガ積みとし、周辺に残る古いレンガ倉庫と呼応するようになっています。