七国山の家

  • 東京都町田市
  • 2008年

グッドデザイン賞受賞 (2011年)

この木造3階建2世帯住宅(浴室のみ共用)は、北斜面に位置し、南東から北方向にかけてパノラマ状の眺望が得られます。敷地形状が変形旗竿敷地のため南西側にある道路からは隣家に隠れるようにして建っています。
 一番気を付けたのは、眺望や隣家の窓の位置も含めた周辺の環境に生活の場を細やかに対応させるということでした。言い換えれば、目指したのは、生活の場と周辺環境のつながりを媒介し調整する「インターフェイスとしての建築」です。具体的には、筋交を用いた軸組みと窓との関係を調整し、室内外を選択的につなげる/遮るようにしています。隣家に面する外壁面では、隣家の開口部と筋交を避けるように窓が設けられ、パノラマ状の眺望が得られるところでは、広い視界が得られるように筋交の位置とは無関係に横長連続窓となっています。細切れになった小さな窓から見えるささやかな景色でも、互いに近接して連続させることによって一つの大きな風景として住まい手の中に像を結ぶのではないでしょうか。
 この家の開口部は、その場その場の都合を優先した結果、不規則に設けられています。しかし、この不規則なデザインは、多くの家具によって満たされる日常生活の乱雑さを受け入れることで、その乱雑さに馴染み、さらにその乱雑さによって強化されるのではないかと思っています。